福利厚生を導入したら就業規則に書かないといけない? 正しい手順と注意点を解説
- 2023年6月22日
- 読了時間: 7分
更新日:2024年11月21日

従業員の満足度向上のため、福利厚生制度を充実させる企業は増えています。新たな福利厚生制度を導入する際や既存の制度を変更する際、内容によっては就業規則を変更する必要があるのはご存知でしょうか?本記事では就業規則へ記載する手順や注意点について解説します。
|目次
|就業規則とは?
就業規則とは、企業が労働条件や職場の秩序を保つために設けるルールや規定のことを指します。労働基準法により、常時10人以上の労働者を雇用する事業場では、就業規則の作成が義務付けられています。
就業規則には、労働時間、休憩・休日、賃金の支払い方法、安全衛生に関する事項など、労働者の待遇に関わる事項を具体的に定めます。また、従業員の業務に関連する行為の評価基準や規範、契約違反時の処分などを明示します。
これらの規定は、労働者が自らの権利を理解し、企業が公平な労働環境を提供するための基礎となります。また、労働者と企業間のトラブルを解決する際の判断基準ともなります。就業規則は労働契約と同様に、労働者と企業間の重要な合意事項を明示する役割も果たしています。
したがって、企業は福利厚生の導入など、労働条件の変更を行う際には、適切に就業規則に反映させ、労働者に周知徹底することが必要です。

|就業規則の記載事項
就業規則の記載事項についてもう少し詳しく説明します。就業規則に記載する事項には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」があります。
絶対的必要記載事項
絶対的必要記載事項とは、労働基準法等により全ての企業が必ず規定し、就業規則に記載しなければならない項目です。具体的な項目は以下のとおりです。
(1) 労働時間関係:始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
(2) 賃金関係:賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(3) 退職関係:退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)
相対的必要記載事項
相対的必要記載事項とは、各事業場内でルールを定める場合には記載しなければならない事項です。具体的な項目は以下のとおりです。
(1) 退職手当関係:適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
(2) 臨時の賃金・最低賃金額関係:臨時の賃金等(退職手当を除きます。)及び最低賃金額に関する事項
(3) 費用負担関係:労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項
(4) 安全衛生関係:安全及び衛生に関する事項
(5) 職業訓練関係:職業訓練に関する事項
(6) 災害補償・業務外の傷病扶助関係:災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(7) 表彰・制裁関係:表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
(8) その他:事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項
|福利厚生を導入したら就業規則への記載は必要?
企業が福利厚生として新たに制度を導入する際、その詳細をどのように就業規則に反映させるべきなのでしょうか。いくつか事例を挙げてみます。
CASE1:子育て支援の一環としてフレックスタイム制度を導入
→この制度の導入により、労働時間、休憩時間、労働日数などの労働条件が大きく変わる可能性があります。これらは「絶対的必要記載事項」に該当するため、制度の適用範囲、コアタイム、利用手続き方法などを就業規則に明記する必要があります。
CASE2:リモートワーク制度の導入
→リモートワーク制度の導入は、労働者の勤務地や働き方に大きな影響を与え、絶対的必要記載事項や相対的必要記載事項のいずれにも該当します。そのため、勤務時間の取扱い、通信費や機材費の負担、情報管理についてなどを就業規則に明記する必要があります。
CASE3:社内行事の実施
→企業が行う季節のイベント(例えば、忘年会や新年会、社員旅行など)や社内行事は、社員のコミュニケーションを促進するための福利厚生として考えることができますが、これらは通常、参加が任意であり、労働条件の一部を形成するものではないため、就業規則への記載は不要です。
CASE4:社員割引制度
→特定の商品やサービスに対する社員割引制度は、福利厚生として一般的に提供されるものです。割引制度は労働条件の一部ではありませんし、個々の割引制度の詳細(割引率、対象商品など)は頻繁に変更されることがあるため、就業規則への記載は必要なく、一般的には社内の通知やガイドラインなどで管理されることが多いです。
ただし、社員割引制度が就業条件の一部を形成する場合や、割引制度自体が労働者に重要な影響を与える場合(例えば、大幅な割引がある場合)は、就業規則に記載する必要があります。

|就業規則の変更方法
就業規則を変更する場合は、ただ労働局に提出するだけではありません。社内に周知し、従業員の賛同を得る必要があります。変更方法は以下のとおりです。
①変更内容の明確化
まず、福利厚生の導入や変更に伴って何が変わるのかを明確にします。たとえば、新たに保養所を提供する場合、その利用条件、利用方法、費用負担等の詳細を明らかにします。
②労働組合や従業員代表への通知
変更内容を明確にしたら、それを労働組合や従業員代表に通知します。通知は文書で行うのが一般的で、具体的な変更内容や変更理由、変更日等を明記します。
③意見の募集と変更案の作成
次に、労働組合や従業員代表からの意見を募集します。これにより、変更内容が従業員の利益を害するものでないか確認し、適切な変更案を作成します。
④就業規則の変更
変更案が承認されたら、それを就業規則に反映します。変更箇所を明確にし、変更後の就業規則を全従業員に配布または掲示します。
⑤労働局への提出
必要に応じて、変更後の就業規則を労働局に提出します。提出は変更が生じた場合に限られますが、一部地域では定期的な提出が求められる場合もあります。
このように、福利厚生の導入や変更に伴う就業規則の変更は、手順を踏むことが求められます。従業員の理解と協力を得ながら、正確で適切な手続きを行いましょう。

|福利厚生制度を導入・変更する際の注意点
上で導入する福利厚生制度の内容によっては就業規則に記載する必要がないことを説明しましたが、就業規則に記載する必要がなくても、従業員への周知は必要です。会議や社内文書で周知するようにしましょう。
また、既存の福利厚生制度を変更する場合は特に注意が必要です。企業としては“よい人材に来て欲しい”ということで、福利厚生の充実を計ってきており、従業員も就職活動で企業を選ぶ際に重要視している部分です。また、入社した後も従業員は福利厚生あてにしています。そのため、福利厚生を会社側からの恩恵的なものだからと一方的に廃止してしまうと、従業員側からしてみれば不利益な変更となってしまいます。このような場合は、就業規則に記載されていない制度の場合でも、変更・廃止前に従業員に周知し、賛同を得るようにしましょう。
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本記事では福利厚生制度を導入・変更する際の手続きや注意点について解説しました。
福利厚生制度は企業に入社する前も入社してからも、従業員にとってその企業を選ぶ上で非常に大きな役割を果たします。導入・変更の方法をしっかりと理解し、企業と従業員双方が納得する結果となるようにしましょう。
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